2001年水輪通信36号より   

           

日々の仕事と生活の中で〈4〉

〜水輪ワーク&スタディ日誌より〜


佐藤 理恵さん(ワーク&スタディ実習生)

●10月10日
 なによりも、心のやすらぎ、平安、そういう状態になりたい。
 しかし、自分一人でそうなってもしょうがなく、何か、人のためでも自分のためでも、できるようになりたい。極まりたい。

●10月11日
 朝食時にみどり先生のお話で、仕事に対する意識を入れていただき、とてもはりきって午前中の仕事ははかどったと思う。日頃、洗たくするにも、頭使って、効率よくまわせるよう、干せるよう、工夫するよう心がけてはいましたが、この日々のワーク&スタディで、自分の意識の拡大をめざす。これから来る方、ワーク&スタディに入られる方にも教えることができるよう、ひとつにひいでると全てに通じる、それ程そうじを自分でしっかりと極める。そうじで自分を磨く。午後の作業がおもいのほか時間を取られてしまった。もっとぱっぱっと、頭を回転させて行動できないのか、無駄に動きまわっていたように思う。

●10月13日
 今日注意された事。探し物を、おちついてきちんと探す。カウンターの上で物をひきずらない。全体を見て動く。
 自分の事で手いっぱいで、自分のフィルターを通して物を見ているだけで、ありのままの事実をみれていないから失敗することがわかった。自分の足で、自立して歩いていくためにも、水輪での仕事を自分の身につけていく。

●10月15日
 二宮先生がおっしゃっていた、“人間の意志は何ものにも勝る、強い。心の中の闇より強い。”という言葉をよく思い出そう。私の中の意志力は今回の事をとおしても、すぐまきこまれ、くよくよぐじぐじとして、とても弱い事がわかる。すぐ不安に、意志力がふきとばされそうになる。
 私は、佐藤理恵はどうしたいのか?どういう人生を生き、どんな自分になりたいと考えるのか。私が水輪で前進する気持ちを失ったなら、即、もとの心の闇の世界へもどる事になる。前だけを見て、自分の道を進む。いつまでも後ろを気にしている自分は、潔くない。そんな事は、家族にも水輪の人達にも、ものすごく失礼だ。今こそ、今この瞬間に生きることを実践する事に自分の気持ちを向け、集中する事で、新しい自分を作る時だと思う。
 また、来年度にむけ、自分のしっかりとした心構えを作り、ワーク&スタディについて、正確さ、迅速さを高めていくよう、心がけたいと思います。

●10月16日
 今日はワークシートを書くことが大切だと、あらためてわかった。書かないと、自分の状態を確認できず、私はまだ、ぼーっとしてしまう。不安のほうに引っ張られてしまう。
 それから、福島へ向けて出す手紙を書いた事で、大学を休学して、水輪へなぜ来たのか、これから、自分はどの方向へ向かおうとしているのか、再確認できた。
 不思議に、書いている時はピンとこなかったが、書き終えた後に、なんだかやる気と勇気がわいてきた。これでいいのだ。私はこの道を進むのだと、うれしい気持ちが出てきた。
 また、ワークシート同様、自分の心には座禅が必要である。

〈大学の先生からいただいたお手紙〉
 手紙をありがとう。元気でやっている様子、何よりです。
 佐藤さんの気持ちがとてもよく伝わりました。
 今年、何度か貴女から手紙をもらい、その度に返事を書こうか迷いました。ゼミのなかでも時々貴女の話がでることがあります。学校の様子を伝えてあげたいなと思うこともありました。
 けれど、そのたびに思い留まりました。
 貴女がこの一年間、自分の道を見つけるまでは、いろいろ言うのを止めようと思っていたからです。逆に貴女はその覚悟で休学して、水輪へ行ったのだから、そちらの生活に集中することが大切だと思っていたからです。
 でもようやくその答えが見つかったようですね。

 先日水輪の本を拝見しました。塩沢夫妻が、貴女のことをとても温かく見守っていらっしゃる様子がわかりました。貴女の笑顔も素敵でした。
 きっとそちらの生活が、貴女を大きく成長させてくれたのでしょう。有り難いことです。
 今の時代には少し古い考え方になってしまうかもしれませんが、大学とは学問をする場です。自分の恩師からは、「学びとは何かを問う場」であることを教えられました。一つのことを学究していくこと、そのことは「学ぶ自分自身」と向き合うことになります。学問の醍醐味、それを十分に貴女に伝えられなかったことが残念です。

 ただそれ以上の「学び」を、佐藤さんは見つけたのです。
 どんな言葉を贈っても、真実に勝るものはありません。
 どうぞ健康に留意して、貴女らしく、貴女の道を歩んでいってください。
 こうした結論を導くまで、佐藤さんのなかでたくさんの葛藤があったことでしょう。それを乗り越えて出した答えです。自信をもって堂々と歩んでいってくださいね。

 最近は、「頑張らないで」と言ってあげるのが流行のようです。
 けど敢えて「佐藤、頑張れ」とエールを送って、貴女への卒業の言葉にしましょう。

 

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2002年水輪通信38号より              

日々の仕事と生活の中で〈6〉

〜水輪ワーク&スタディ日誌より〜
 ワーク&スタディは、眠っている遺伝子のスイッチをONにする心の働きです。今回の実習生の方は、神ノ木クリニックの山本忍先生の御紹介で、3カ月のワーク&スタディを終了しました。短期間にもかかわらず素晴らしい自己成長をされ、21世紀の新人として期待されています。この春からは、アロマセラピストのお勉強を本格的に始め、水輪でもセラピストとして活躍予定です。

A.S. さん(ワーク&スタディ実習生)
●2001年11月21日(水)
「ただ、淡々と仕事をする。」??
 今日から本格的なワーク&スタディが始まった。「初日だから何でも質問できる。」という安心感があって、楽な気持ちで仕事ができた。でも心の中に「明日お客様がみえるからキレイにしよう。」とか「ミスして注意されないように。」という思いがあったようだ。「ただ、淡々と仕事をする。」という心境が私にはまだわからない。

●2002年1月25日(金)
「本当のプライド」
 おひるの時間、私の書いたワークシートのことでみどり先生から話があった。みんなの前で私の考え方の悪いところを指摘され、恥ずかしかったが、その反面ほっとしている自分もいた。なかなか自分から変なプライドでできている皮をむけない私にかわって、みどり先生が皮をむいて中の私を見せてくれたんだと思う。

 「本当のプライドは誰にもキズつけられない自分」そのとおりだと思う。いつだって、いどむもの、とりくむものは自分の中にあるんだ。まわりのせいにしちゃいけない。

●1月26日(土)
「ただみんなでお料理しているだけだと気づいた」
 厨房での作業中、ジャガイモを取りに行って、ドアから入るとき、窓のむこうに厨房に立つ研先生とみさ子さんの姿がみえた。まるで絵とか写真とかTVの画面みたいに見えたが、そこに自分もいればいつもの厨房の風景だな、とはっとした。

 実はつくるのがかなり遅れていて、はりつめた状態だったのだが、窓の外から見える2人の姿はただごはんをつくっている光景でしかない。私が緊張したり、頭に血がのぼったりしている厨房作業は外から見るとこういう光景で、ただみんなでお料理しているだけだと気づいた。

 

〈3ヶ月間のワーク&スタディを終えて〉
 3ヶ月間をふりかえると、長いのか短いのかわからない、とにかく中身のこい日々だった、毎日がチャレンジだったと思う。そして本当にたくさんのことを教えていただいた。

 変なプライドの高さを捨てることができず、みんなとの間に壁を作り、そこを指摘していただいてもしばらくそれをみとめ、直すことができなかった、自分が壁をつくっていたのに、みんなの中に溶け込めなくて、すごい孤独感を味わったりもした、でも原因は全て自分にあって、自分がおこしていることに気づけて、生活がガラリと変わった、みんなの顔までちがって見えてきたし、一日一日どんどんみんなのことが好きになって、「少しでも近づきたい」と思うようになった、3ヶ月かかってようやく水輪の仲間につづくドアをあけて、一歩中に入ることができたみたいだ。

 「本当のプライドは何を言われても・されてもキズつかない自らを尊ぶ心。」みどり先生からこのことを教えていただき、気持ちを変えることができたんだと思う。

 「優しさと優柔不断は別」「自分以外に自分をキズつけるものはない」「自分の力、能力に制限をつけているのは自分」数えきれないくらいの真理を毎日教えていただいた。そして今、自己探求と真理を求める旅が始まった。始発駅はここ水輪、もしかして途中駅も終着駅も水輪かもしれないけど、とにかく本当の人生のスタートをここから始める。

 本当は3ヶ月間のワーク&スタディは短いんだと思う。最低3ヶ月はいないと、私の場合はダメだったんだろうけど、何とかドアをあけられてよかったとホッとしている。「さあ、これから!」というところで卒業するわけだが、何度もここに帰ってきて、交流を深め、意識を高めあっていきたいと思う。

 本気で導いて下さったみどり先生、研先生に心からお礼を言いたいです。「心の探求」に目覚めさせて下さったお2人の教育こそ、本物だと思います。

 本物の教育は、ただただ知識をつめこむのではなく、その人の学びたい!知りたい!という気持ちに火をつけることだと思います。まさしくお二人が日々実践されていることです。

 そして、知りたいという気持ちがおこって、何かに気づけた時、それが癒しにもつながるのかな?という気がします。結局、自分を癒せるのは自分だけ。でも最初の一歩は目覚めと気づきで、ここでの教育というか導きは人を目覚めさせ、その人に第一歩を進ませるものだと思います。

 小さいお台所で身体をよせあって食べたごはん。笑顔・笑顔でさおりちゃんをかこんだ時間。お客様をお見送りした後のみんなの充実した笑顔。真剣に向かいあった対座。緊張した顔や大笑いの声が行きかった厨房。たいへんだったけど忘れられない思い出になった内観合宿の水織音での日々。
 かけがえのない時間をすごさせていただきました。

 

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