2002年水輪通信37号より              

 日々の仕事と生活の中で〈5〉

    〜水輪ワーク&スタディ日誌より〜
    人は変われる……新実習生2ヶ月の変化

 

 ワーク&スタディは、眠っている遺伝子のスイッチをONにする心の働きです。今回の実習生のHさんは、2001年12月からワーク&スタディ実習に入りました。この2ヶ月の変化にはめざましいものがあり、一つ一つ着実に気づきを起こしています。ぜひお読みいただきたいと思います。

 

●12月2日(日) 今日、朝仕事をしている時にゆううつな気分になり、しんどかった。
 そして昼、戸隠奥社へスタッフの方々とハイキングに行った。奥に進むにつれて坂が険しくなり、歩くのが大変だった。

●12月7日(金)
「一つ一つ着実に」
 昨日気づいた事で、あせらずに経験を一つ一つ積み上げ、自分のペースで着実に生きて行こうと思った。 朝はいつも通りゆううつな気分だが、ゆううつな気分でいる時間が短くなっている事に気づく。

●12月14日(金)
「考え事をしている自分に気づく」

 スペースの掃除機がけをしている時、理恵さんに「何か考え事してる?」と聞かれ、その通りだったので「はい」と答えると、掃除機を板の目にそってかけていない事を指摘された。そのあと理恵さんに「考え事をしている自分自身に気づく事が大切」と教えられ、そのあと仕事をしている時に結構考え事をしている自分に気づいた。

●12月15日(土)
「緊張」

 今日は、帯津先生の養生塾がある日で、お客様が大勢来られる為、朝からハードな一日だった。
 夕方雪かきが終わった後、水織音の食堂に行きごはんやみそ汁の配膳をした。大勢の人達がいて、みそ汁を配膳する時は緊張して手がふるえ、みそ汁を机の上に置くのに苦労した。

●12月24日(月)
 夕方頃にワークをしていて気づいた事があって、自分では判断のつかないような事を周りの人々の判断に依存して、その判断にしたがって行動してしまう事です。例えば、誰か一人の人が一つの事をやったとして、自分が「これはこういう風にするんだな」と思い、その人につられるように同じ行動をする、というような感じです。なので、その人の判断が間違っていたとすると必然的に自分自身も間違ってしまうわけで、その判断の間違いを自分がその人の判断に従っているのにその人のせいにしてしまう、という悪い方向に向かっていってしまうのです。
 自分の判断だけで何かを行動する、というのがあまり出来なくて、その原因は一つの行動を判断するための材料が無いからだと思うのです。その材料を増やすためには一つ一つの事を経験していくしかないのでしょうか。

●12月25日(火)
「自分にも責任がある」

 夕食の時間がおそくなってみどり先生から注意を受けた時、正直食事を作っていない自分には関係のない話だと思った。しかし、よくよく考えてみると自分が仕事のスピードを速めるだけの力があれば幸与さんはもっと早い時間に食事を作る事が出来たと思う。なので自分の力不足が原因となり、自分にも責任があると思うので謝りたいと思います。

●1月3日(木)
「がんばってきて良かった」

 今日で内観合宿が終わった。7日間で一番大変だった事は、やはり朝早くに起きてずっと厨房に入りっぱなしで休憩もほとんどなかった事だと思う。でも、やっていくうちになれてきて、前のようにご飯などを出す時も緊張して手がふるえる事はなく、落ち着いて料理を出す事が出来るようになった。
 今回の内観合宿は大変で失敗もたくさんあったけれど、少しだけ自分自身が成長できたと思う。そして、最後に参加者の方々の笑顔を見たら、頑張ってきてよかったと思った。

●1月9日(水)
「自分おばけ」
 勉強会で自分のテーマを話した「自分おばけ」について、今まで自分がその「おばけ」が出てきてのっとられた時は、「今の嫌な状態がずっと続くわけじゃない」と思ってその状態を切り換えようとしていたが、みどり先生の話の中で「おばけ」にのっとられず、まきこまれない状態にする事ができるという話を聞き、そういう自分自身になれれば良いと思う。

●1月20日(日)
「感情に懐かしさを感じる」
 最近色んな感情が芽生えてくる。不安、焦り、喜び、悲しみ。昼過ぎに雪かきをしていると、「めんどくさいなぁ」と心の中から出てきた。「どうしてこんな感情が出てくるんだろう。こんな感情必要無いのに」と思いながら雪かきをしていた。ふと、中学の頃自分自身の中から出てくる感情をどうしていたのか考えたら、中学3年の時は出来るだけ自分の中から出てくる感情を抑え込み、機械になるようにしていた事を思い出した。中学の時は自分の感情を押さえ込む事はほとんど出来なかったけれど、引きこもり人と会う機会が無くなってゆくうちにだんだんと感情を失い、不安や寂しいと感じる事も無くなっていった。それがここへ来て一日一日を過ごしてゆく内に、無くしたはずの感情が次々と出て来て、ひとつひとつの感情に懐かしさを感じている。

 

●1月24日(木)
「能力×情熱×考え方」

 水輪に来てしばらくするまで自分の中にイライラしたものがあって、イライラの原因は母親に対する嫌悪感からだと思っていたが違っていた。

 本当の原因は自分自身が学校に行かなかった事による劣等感からだった。町で人とすれ違ったときに学校に行っていない自分自身がすごく見下された気持ちになり、それが原因でイライラしてきていた事に今日気付いた。その劣等感があるから出来ない自分を「ダメだダメだ」ととらえるのだと思う。この劣等感がある限り、家に帰ってもまたイライラして何もできなくなると思う。

 京セラ名誉会長の稲盛和夫氏のお勉強会をして、人生の結果は能力×情熱×考え方で決まると稲盛会長はおっしゃられていて、どんなに能力があっても考え方がマイナスだとその人の生き方はマイナス方向に向かうが、一流大学を出ていなくて能力がそれほどなくても、情熱と良い考え方があれば会社では良い人材として認められ、そういう人達が会社の社長であることも多いという事を知り、自分は能力のある人間だけが会社の社長や重役になるのだと思っていたが、決してそうでは無いという事に自分自身の考え方を変えなければいけないと思った。


●1月25日(金)
「座禅」
 夜、みどり先生と対座をした。対座し始めた時は緊張して目を合わすのが難しく、呼吸の感覚も短かかったが、時間がたつにつれて呼吸の間隔が長くなり、目も合わせやすくなった。さらに時間がたつと集中し始めてきて、今まで座禅してきて初めて頭の中が少しクリアな状態になった。これは、みどり先生と対座したからだと思う。今までの座禅で一番有意義でした。

 

●1月26日(土)
「座禅の時の呼吸で緊張しなくなった」

 今日は社員研修があり、昼すぎに社員の方々が来られた後、スタッフと実習生はスペースでみなさまにあいさつをした。スタッフの方々があいさつをされた後、実習生があいさつをする番になり、自分は緊張していたので座禅の時の呼吸をしてみた。すると、だんだん緊張がほぐれてゆき、リラックスし始めて自分があいさつする時にはまったく緊張しなくなった。

 

●1月28日(月)
「人の力になれた事がうれしかった」
 11:30頃、みさこさんに「お隣の方が雪かきを手伝ってほしいと言っているので行って来てください」と言われ、Oさんとお隣のアンデルセンに行ってみると、女の人が1人で駐車場の雪かきをしていた。
 駐車場は50B位雪が積もっていて、車が出せる状態ではなく女性1人でやるには大変な状態だった。
 女の人に「車が出せるようにして下さい」と言われたので早速車の周りを雪かきし始めた。しばらくすると研先生がこられて4人で駐車場を雪かきし、30分位で雪かきが終わった。女の人は助かった様子で何度も「ありがとうございました」と言っておられ、人の力になれた事がうれしかった。

●1月29日(火)
「気持ちの切り換え…このやり方はちょっと違う?」
 今日は一日中雪かきをしていて、朝食後雪かきをしているときに「自分おばけ」が出てきた。気持ちを切り換えようとしたが「自分おばけ」にとりつかれたままで惰性に流された気持ちは切り換わらなかった。
 惰性に流された気持ちをなぜ切り換えられなかったのか考えてみると、無理に楽しくないことを「楽しい」と思ってみたり、やりたくない事を「やらなければいけない」と強制してみたりしていて、そういうやり方でやっても気持ちは切り換わらず、このやり方はちょっと違うのではないかと思った。

●1月31日(木)
 雪かきをしているとき、「自分おばけ」が出て来た。今までやってきたやり方では「自分おばけ」は消えなかったので、とりあえず今自分がどういう気持ちなのか自分の心を見てみた。
 その時どういう気持ちが沸き起こっていたのかというと、「めんどくさい」とか「雪かきしたくない」といったもので、少しづつ、少しづつ自分の心を見ていった。すると自分自身の心を客観的に見る事が出来るようになり、自分の心がどういう動きをしているのか見えてきて「自分おばけ」を心の中から放すことが出来た。

 

●2月1日(金)
「ワーク&スタディ3ヶ月目に入る」
 今日、明日の2日間、水輪に母が泊まりに来て、夕方頃、1ヵ月ぶりに母と話をした。ここでワークをして自分自身に気づきが起こったことで、自分がネガティブな気持ちになったとき、少しではあるけれどその気持ちがポジティブな方向に向かっていったことを話した。母は「よかったねぇ」と自分の心の成長を喜んでくれていた。
 母と話しているときはここに来た当初のようにつっかかるような話し方をせず、1人の人間として距離を置いて冷静に話をすることができ、また、母の事を客観的に見ることが出来た。

 

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