水輪通信60号より          

ワーキングスタディー特集

 清掃学から清掃道を学ぶ。毎日のガラス磨き
 清掃、座禅、グループミーティングなど。
 ワークスタディーの醍醐味を特集しました。
  

実習生・研修生・スタッフの心と体といのちの成長の日々〜

 

ワーキングスタディーとは
 日々の生活を通して学ぶことがワーキングスタディー(以下ワークスタディー)です。「今・ここ・自己」「今やっていることになりきる。」ことがワーキングスタディーの基本です。ぞうきんがけをしている時はぞうきんがけに集中する。窓を拭いている時は窓ふきに集中する。実際に集中して拭いた時と、考え事をして拭いた時と結果が違ってきます。「おなかがすいたな。」「しんどいな。」などと考えているとゴミを拭き残したり、拭き忘れたりします。
 それぐら大したことではないと思うかもしれません。
 しかし、あなたが他の人と話をしているときに話に集中できていないとしたら話が食い違ってきますし、人付き合いをしているときにも、相手に注意を向けられずに自分の考えに囚われると人間関係も悪化してきます。
 つまり、「今、ここ、自己」これができないということは、掃除が汚くなるということだけではなく、人間関係や仕事において重大な障害を抱えることとなります。
 今ここ自己を鍛錬するとそこから、今ここ愛が感じられるようになっていきます。
 ワークスタディーという日々の作業を通して、自分たちの心の状態をつぶさに観察し、私たちのいのちが輝くこと。こころと体がひとつになり、いのちが輝くこと。ここにワークスタディーの醍醐味があります。現在水輪にはスタッフ、実習生含めて約10名ほどが生活を共にし、ワークスタディーを行っています。
 以下にワークスタディーの特徴をあげてみます。

ワークスタディーの講義と内容
・心を磨く清掃(生活の基本を体得する。機敏な動きを養う。)
・健康自然食(自然治癒力を高める体力作りと料理教室)
・呼吸法(深い呼吸を体得し、集中力を高める)
・学び(明るい心、前向きな心、プラス思考を学ぶ。/ 知性と感性、意識と行動の
バランスを取る。/ 自己と他者との調和、思いやりと感謝の心を学ぶ。/ 自分の問
題点〈心の癖〉を知り越える。/ 食生活の習慣を正す。)
・発声(言葉の持つ力、話し方。)
・ミーティング(なんでも話のできる心の交流と学びの場)
・人や自然に貢献できる自己をつくる。 ・自然農

〔ワークスタディー実習生・参加者日々の気づきノートより〕

●「勇気」 10月24日  研修生(3ヶ月) M・M
 私自身、最近出し惜しみしていることがあります。それは、声と勇気です。声をもっと出して、言葉で正確に伝えなければなりません。勇気を持って大きな声で、を常に意識したいです。
●「自分との戦い」 11月1日
 水織音のトイレのガラスの置物を割ってしまった。本当に心と体はつながっていて、心の状態はきちんと行動に表れてしまうんだと思った。ミーティングで、自分の意見を言った後、切り替えをすばやくするのが私の課題のひとつ。言ったことに対していろいろ考えて、後悔しないでパッと切り替えて、今になりきる。何度も何度も自分に言い聞かせる。
 常に、自分との戦い。自分に負けない。あきらめない。甘えない。そうやって前進していく。今、ここで生きていくことを決めたのだから、まずは、一緒に働いているみんなが気持ちよく働けるようにがんばりたいと思う。自分ひとりでバリバリがんばるだけじゃなくて、全体の流れがスムーズにいくように、今、私は全体の中でどんな役割をして、みんなはどう動いているのか。意識していきたい。

●「自分を捨て去る」 11月11日  実習生(1年) K・T
 今日はみんなに色々な言葉をかけて頂いた。自分がこれから成長し変わっていく為の条件は、自分を捨て去ることのようだ。自分は二の次で、他者をまず考える。リーダーの資質なのだと考える。捨て去るということはなりきることだということも研先生の言葉から感じた。
●「親父以上の人間になる。」 11月15日
 常に謙虚で素直な心で精進し、愛と誠と調和をめざして、きれいな心で願望を抱く。NHKのテレビを見ていて、人間はこのような心で臨めば宇宙意志に助けられ、寸分の狂いもない因果応報を受けられるのだと感動した。潜在意識にまでしみわたる強い願望が三十年持続すれば、ひとの想いは成るのだと聞いて、人間の意志は偉大だと思った。その条件には、公共の想い、良い想いとあるのに納得した。
 自分は強い人間になる。包容力、理解力のある人間になる。人を受け入れ、人に与え、人と生き合い、人を導くことのできる人間になる。祖父以上の人間になる。親父以上の人間になる。そうなると思うことにする。

● 「自己防衛のパターン」 12月13日  スタッフ(1年) T・K
 僕がミスした時の自己防衛のパターンは、まるで知らなかったようにふるまうことだ。はっきり、これはやめようと思う。いつもやってるわけではないが、何の得にもならない。
 はっきり宣言しないとやめないと思うので「やめます。」また生活を共にするということが、ここまで深く人の心を見せてくれるのかと今更ながら感心する。すごく微妙な反応、言葉が一般の社会ではそこに人間関係のズレを生じさせる。
 水輪では、こういったクセを知り、そこを乗り越える。今になりきる、ということを日常やっている。 
 では何のために今になりきるのか。心と体と命を統合し生きるため。
 では統合した先には何があるのか。魂の深い部分には何かすごい言葉にならないある領域がありそうだ。
● 僕の人生のテーマは「逃げるだった」 12月23日
 今日は僕は言い訳をした。その時一番強く感じたのは、「僕は逃げている」ということだ。そして、逃げるところはないのだとも思った。「責任をとらない自分」と言ってもいい。過去の生育歴で思い当たることもある。僕は子供のころ、同じ夢をよく見た。小学校やいろんな所に閉じ込められていて、そこから逃げ出す夢だ。夢分析の先生に話したら、僕の人生のテーマは「逃げる」ということだと言われた。言い訳が出てくるのは、自己保身や様々な要因がある。でも、根本に逃げているという気持ちがあるということがわかった。これからのテーマに向かって行きたい。

〔 ワークスタディーの意味と価値 〕

 自然破壊、戦争、病、その他様々な社会問題の根本には人の心があります。「自分さえよければいい。」そういう気持ちがあると自分は儲かるけど、自然は壊れるという製品を世に生み出します。自分が正しく相手が間違っているという思いこみ、相互理解の欠如から戦争が始まります。自分をしっかりと把握し、相手の心を感じ取らなければなりません。関係をしっかりと築けないとストレスを抱え、やがて様々な病気を引き起こします。
 これらのことは政治が悪いから、企業が金儲けばかりを考えているから、相手が悪いから起こるのではありません。
すべてそこに関わるひとりひとりの心が問題を作りだし、引き起こすのです。
ワークスタディーで自分を見つめ、偏った考え方や思い方を乗り越えてゆくことはこういった自然破壊や戦争をくい止めることにもなるのです。
 自分さえ良ければという利己的なエゴで自分の幸福を追求するのか、自らを知り、自然や人のためになにか自分の出来ることをしようという生き方を選ぶのか。ワークスタディーとは利他の心で生きることであり、日々それを毎日の仕事において実践することなのです。 私たちの心は日々の生活のなかに現れてきます。どんな失敗にも、成功にも心を惑わされることなく、日々善をなす。水輪では志を高く持ち、日々実践し生きることをワークスタディーという日常生活の中で実践しているのです。

 

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