水輪養生塾への期待
榻名時太極拳二十一世紀養生塾をはじめて、もう2年になろうとしていますが、これと並行して「水輪養生塾」なるものも軌道に乗ってきました。
水輪というのは、長野県の飯綱高原にあるホリスティック・スペースです。塩沢研一・みどりご夫婦が、ホリスティックな生き方を求めて開いた癒しの館です。全館木造で芬々たる木の香りが漂っています。しかも、塵一つありません。いつもぴかぴかに磨きあげられています。スタッフのご苦労はいかばかりかと頭の下がる思いですが、常勤、パート、研修生など数名の若人が忙しく立ちはたらいています。 新幹線のおかげで、長野が近くになったうえに、長野駅からタクシーで30分くらいの距離ですから、足は楽なものですし、都会の喧噪から、あっという間に大自然のふところ深く入ってしまうのですから、人気もあろうというものです。土・日曜を中心に、いつもセミナーやワークショップが開かれているようです。ホリスティック医学協会の会員である塩沢みどりさんからのお誘いで水輪とのお付き合いがはじまったのですが、最初のうちは、その都度のテーマで、年に二、三回、散発的にセミナーを開くというありさまで、三十名の定員も決していっぱいというわけではありませんでした。 全国どこへでも講演に出かけますが、原則として日帰りということをつらぬいていましたので、一泊のセミナーということに多少の抵抗があったのですが、土曜日の全生庵が終わって、上野を四時すぎの「あさま」に乗れば、七時からの講演に間に合いますので、それほどの負担にはなりませんでした。 ところが、「水輪養生塾」と銘打つようになって、しかも二泊でおこなうようになって、急に参加者が増えてきました。定員を越えて溢れてしまった人達のために、臨時のセミナーを設けるなんてこともありました。いまでは、二泊が年に四回というのが定着しそうです。この忙しいのに、なんでまた!と周囲の人々からはお叱りをうけましたし、私の気持ちのなかにも多少のためらいもないわけではなかったのですが、いまではこれもひとつの流れと素直にとらえています。いや、榻名時太極拳二十一世紀養生塾に対するのと同じくらい積極的な気持ちでのぞむようになってきたと言ったほうが当たっているようです。 二十一世紀は養生の時代です。 わが生命(いのち)を見つめ、互いの生命(いのち)に思いを遣り、そして、共通のいのちに向かって身心を寛放(かんぽう)していく場は多ければ多いほどよいと考えるようになったからなのです。 四月二十七日から二十九日までの三日間、今年の第一回の水輪養生塾が開かれました。 |
いつものように夕方六時半頃到着すると、皆さんは食堂で夕食中です。参加者は三十名を越えているとのことで食堂は満席です。挨拶をすませて、これもいつもの二階の私の部屋に入り、ビールで喉をうるおして、一息ついてから別棟のセミナールームで講演です。もちろん養生についての話ですが、特にテーマを細かくきめているわけではありません。ただ三日間の養生塾の基調講演のようなものですから、最近考えていることを中心にお話しします。参加者ははじめての人もいれば常連もいるという具合で、焦点を合わせるのに多少の苦労はあります。 八時二十分頃終わると、皆さんはその場に残って瞑想の時間です。指導はみどりさんです。「先生。夕食をどうぞ。」ということで、私はひと風呂浴びたあと、先の食堂で遅い夕食です。先とちがって、私一人ですからがらんとしています。カウンター越しに料理に精を出す研一さんが見えますから、まったく一人というわけではありません。 水輪での食事は午前十時と午後六時の二回です。主食は酵素玄米。これはこれでうまいのですが、圧巻は研一さんのつくる副食です。野菜、山菜、きのこが中心で、多少の魚介類が加わりますが、これすべて旬といった感じで、旬が満ちみちています。私流の食養生がそのまま、そこにあります。今回ですと、ウド、タケノコ、フキノトウ、ワラビ、ゼンマイ、ミツバ、シラス干しといったところですが、豆腐、蒟蒻、油揚げ、納豆にも、旬を感じてしまうような、おいしさです。 さらに、これは内緒ですが、この初日の一人っきりの夕食には私だけの特別料理が出てきます。主として魚介類ですが、刺身にしても焼き物にしても煮物にしても、すべてが旬なのです。そして、うまいのです。いやがおうでも内なる生命の生命場のポテンシャル・エネルギーが高まってしまいます。これこそ本当の食養生です。 二日目は日の出とともに起床して、原稿書きです。およそ三時間、能率があがります。 |
八時半から庭に出て木立のなかでの気功です。ここでは太極拳ではなく、調和道丹田呼吸法を含む「時空」です。十時に、またまた旬がいっぱいの朝食を済ませて、十一時半から午後三時まで、車座交流会です。全員が車座になって質疑応答やら討論やらです。これが実にいいのです。腹蔵無く語り合うのもエントロピーの減少に役立つようです。そのあとは皆さんはまた瞑想の時間、私は仕事の時間です。 |
三日目も同じスケジュールで三時に解散。 食の養生、気の養生、心の養生のすべてをはたして、誰もが充ち足りた表情で再会を誓いながら三々五々帰路につきます。 『調和道』調和同協会機関誌より |
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